名探偵ホームズ 霧のロンドン殺人事件

感想

トーワチキから発売されたシャーロックホームズシリーズの第2弾です。
今作は前作の「伯爵令嬢誘拐事件」とは違い、 コマンド選択型のアドベンチャーゲームとなりました。
うん、こちらの方が探偵っぽい!
民間人を蹴り倒して銃で打倒してお金と情報を得て、という内容よりもいいよね!!

強引な所もあったとは思いますが面白かったです。
何より、ホームズがホームズっぽくて良いんですよ、「観察する」コマンドが本当にホームズっぽい。

ロンドンの街中を歩いて、または馬車で移動し、目的地に着いたら捜査を開始する、というシステムの今作。
街中には直接事件には関係の無い人が何人かいて話しかけられるのですが、皆さんそこら辺の人なので特に重要な情報は持っていません。
それはごく辺り目なのでいいのですが、子供があちこちにいて一緒に遊ぼうと言ってくるのが怖い。顔も怖い。
やはりこれは当時のロンドンを現しているものなのでしょうか?
遊ぼうと言って財布をスル、とか○○するとか××するとか...。

ま、まぁ物騒な話はさておき、足を使って捜査をしたり、下宿先で会話をしているホームズとワトスンを見ていると、 NHKで放送されていたシャーロックホームズのドラマをもう一度見たくなりました。 あれ、面白かったんですよねぇ、吹き替えも素敵で。
ホームズとワトスンの声は今でも脳内で再生できます。
もちろん、前作プレイ時はそんなことは微塵も思いませんでしたが!!

ただ、街中を移動する速度が遅いんですよ。 これが「街が広い」というのを表現しているのかいないのかは分からないが、いらいらすることもしばしば。
馬車で移動すれば一瞬なのですが、お金が底を尽きてしまうの馬車の利用はほどほどにしなければなりません。
といっても、移動全てを馬車にするような豪遊(?)をしなければそこまで気にするほどでもないのですが。

音楽もよくて、特に馬車の行き先選択の音楽が癒されるんです。
街中の音楽も軽快で、どこか事件の事を忘れさせてくれるような感じです。
が、何かが起こるとすぐさま緊迫したBGMになる、この切り替えがより良い演出となっています。
ミステリーっぽくていいですね。
証拠品や証言など、何か発見したときの効果音もまさしく「効果的」ですし。

ファミ探の新作やオホーツクのリメイク出るこのご時世、 こういうタイプのホームズ作品が出てほしい気もしますが作成は難しいですよね、版権が絡むのでなかなか。

神宮寺シリーズももうしばらく出ていないようですし、やはりコマンド選択型のゲームは需要があまりないんでしょうね。
最近のゲーム事情にはまったくもって疎いのでよくは知りませんが、 こういうコマンド選択(もしくは入力)型の推理ゲームはあるのでしょうか?
steamなどにはあるかもしれませんが数が多くて探す気が起きませんし、そもそも時間が無い...。
ボイスもアニメも無しならそんなにお金もかからなそうですが、 ボイスが無いと受け入れてもらえない(と、個人的には感じている)ご時世、それは難しいんでしょうねぇ。
それより何より一番重要なのはアイデア(トリック)だと思うのですが、ネタバレされやすい現在では 初プレイの前にトリックや犯人が分かってしまうのはよほど気を使っていなければ避けられそうにありません。
気になったゲームを検索すると「犯人は~~~」「トリックは~~~」なんてすぐに出てきますし。
「犯人はヤス」の比ではありません。

そういえば気になった点が幾つか。

兄が弟を「ホームズ」と呼ぶ違和感。
あなたもホームズさんじゃん!
説明書のお兄さんの項目ではきちんと「シャーロック同様」と兄「マイクロフト」と弟「シャーロック」を区別しているのに、 ゲーム中では「ホームズ」と呼ぶお兄さん...。
(シャーロック)ホームズは兄の事を「マイクロフト」と呼ぶので、例えて言うと
佐藤一郎、二郎兄弟が互いを呼ぶときに
兄「佐藤」
弟「一郎」
となる違和感。おかしいだろ!
さらに、お兄さんは電報でも弟を「ホームズ」呼びなんです。
もうこれはどう考えてもフォロー出来ません。

他にも、ホームズの下宿先でホームズが「見慣れた僕たちの部屋じゃないか」という場面。
一緒に住んでないよね?
ワトスンは奥さんがいるから別のところで暮らしているんじゃないの?
それともよく来ているから「僕たち」といっているのか?
多分下宿先は「探偵事務所」という認識で、そこによくいるのは(当たり前ですが)住んでいるホームズと、その相棒ワトスンの二人、 だからこその「僕たち」という表現だと思いましたが、この認識で合っているのでしょうか?
でも、原作でもこんな台詞ありそうですね。
遥か昔の子供の頃、たくさんシャーロックホームズ作品を読んだのにほとんど全て忘れてる(汗

さらにもう一つ。
新聞に事件を担当している警部の名前が出ているが、これって当時のイギリスでは当たり前のことだったのかな? そんなこと無さそうだけれども?
いくらゲーム的な演出だとはいえおかしな感じがして。
ホームズだったら警察に行って「この事件の担当は誰?」と聞けば教えてもらえそうですけれど。

先にプレイしていた次作「Mからの挑戦状」は、今作よりも明らかにクオリティ下ってるじゃん!
何だよ、あの暗号文は(苦笑
ホームズって観察眼が鋭いんですよね、かなり。
袖口のチョークの粉から職業は教師だとか、何回も服を縫い直しているから節約家だとか推理したり。
「Mからの挑戦状」ではそんなところを微塵も感じなかったんですが、スタッフが変わってしまったのでしょうか?
今作の方が3作目っぽいです。
グラフィックもクオリティが高い、と思うのは好みの問題なのかな?

最後に。
ハドスン夫人、お願いですから電報が来ていたら、こちらが聞かずとも教えてくださいよ、本当に。
「お帰りなさい」の次に「電報が届いていますよ」と一言教えてくれていたら、どれだけ早く事件を解決出来たことか......。

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