マルサの女

感想

伊丹十三監督の映画「マルサの女」を題材としたゲームです。

映画を見てはいないので、原作と何処が同じで何処が違うのかは分かりません。 ストーリーも登場人物もまるで同じ、もしくは多少オリジナルを入れているのか、 それとも「マルサ」を題材にした別のシナリオなのかは分かりませんが、 面白いですね!

主人公は「板倉亮子」という名の税務職員。 脱税の疑いがある会社や個人を調べ、税金を納めさせるのが仕事です。
ときにはパチンコ店、ときには商店街ぐるみの脱税を捜査し、悪事を暴いていくのですが、 登場人物が皆個性的で会話が面白い。

捜査していくうちに見えてくる「脱税マニュアル」の存在。
それの出所を探っていくと...。
どんどんストーリーに引き込まれていきました。

脱税している人物の周囲を調べ上げ、本人を問いただすときには、
「暴く」「突っ込む」「脅す」「なだめる」「引っ掛け」というように 話し方を変えて相手の牙城を切り崩していきます。
同じコマンドを選んでも、気を許してくれるときもあれば、 とぼけられたり、怒り出して追い出されてしまう場合もあり、本当に個性的です。

コマンド選択式のアドベンチャーゲームなので、しらみつぶしにコマンドを試していけばクリアできてしまうのが 難点ですが、ストーリーが面白いのでそれでもいいかなぁと思ってしまいます。
また、さらに親切設計で、 「その状況でまだやらなければいけないことが残っていると、移動できない」
「行かなくていい場所へは行くことが出来ないことが多い」仕様になっていて、 捜査の時間が短縮できます。
でも、これってちょっと親切過ぎて...。
地道に調べ上げていくストーリーなのに、システムはストレートに正解コマンドを導けるようになっている、 というのは良いのか悪いのか。
ですが、あっちこっち足で稼いで地道に情報集めをして、 相手を問い詰めるときは親切設計にしたことにより、バランスが取れているのかもしれません。

親切設計とはいっても、そんなにプレイ時間が短いわけではなく、結構なボリュームがあります。
そこも、頻繁にパスワードが出てきていつでも中断できるところもまたいいところです。

細かいところまで気の利いているゲームだと思います。

個性豊かな登場人物の中でも、一際個性的なのはやはり主人公の板倉亮子でしょうか。
誰もいないところで「はなす」と「え?!誰に」、 やらなくてもいいときに「みる」と「見ての通りよね」、 「つかう」と「使う物なんて無いわね」等、 非常にそっけない台詞が返ってきます。
なので、脱税している人物に対して優しい言葉をかけているときも、 淡々としている人物なのにこんなやさしい一面もあったのか!
と思うより、
それ、心から思ってないだろ(苦笑
と突っ込みたくなってしまいます(笑

人物の描写がうまいのは、原作があるからなのかな?
原作の映画が見たくなってしまう、そんなゲームでした。
面白いです。
あの終わり方だと続編が出てもおかしくないような感じだったのですが、残念ながらゲームでは出ていません。
映画では「マルサの女2」があるようですが。

マルサの女」といい、 (どちらもゲーム中に名前が出てきましたが)「スウィートホーム」「ウィロー」といい、 版権物でもカプコンのゲームは面白い!