感想(ネタバレ)
救いようがないシナリオです。
基本的にハッピーエンドが好きな私は、あまりにも絶望的なこの完結が切ないです。
10年前に父が殺され、その事件の手がかりと思しき(おぼしき)葉書を手に主人公は旅立つわけですが、 その時点で暗い...。
そして、まず最初に出会う怪しげな老人「タケウチ」さんとあちらこちらを巡るわけですが、
この爺さんがあまりにも胡散臭い。
う~ん、コイツにはきっと何かある、と思っていたら案の定でした。
登場人物の(一人を除き)全員が暗い影を持っています。世界全体がどよ~んとしています。
そして、最後にぽっと出てきた「オガタ」がまた怪しい。
何故敵対する勢力の人物がなれなれしく話しかけてくるのかと思ったら、こいつはこいつでまた野望を持っていた。
そして、その野望からわが子を守るために母は......。
実の叔父「キクチヒコ」に剣を向ける武。
「ヤマトタケル」の生まれ変わりという運命を背負うとは言え、13歳の武にはあまりにも過酷な道だ。
う~~~、オトタチバナヒメも、そのお付の2人も......。
確かに、この世は暗黒神から守られたのかもしれないけれど、なんだか救われません。
あの後、タケシはどこへ向かったんだろうか...。
救いようのないシナリオですが、ゲームとして見れば面白いです。
早く続きが見たい、と思うのですが、先に進むにつれどんどんと話が暗くなっていくので、続けるのもちょっと辛い...。
どんどん世界にのめりこんでいったので、パスワード入力無しで一気にクリアしてしまいましたが、 その後、攻略記事を書くために各章のパスワードを入力し、一通り確認します。
このパスワード入力のBGMがまた切ない...。
星空いっぱいの夜空を見上げながら、独り今までのことを振り返るタケシが浮かんでくるようなBGMなんです(分かりにくいな)
このBGMを聞かなくて良かった...。聞いてたら最後までプレイ出来なかったかも。
そんなシナリオですが、面白いことは面白いです。これ、小説とかだったらまた一味違いそうですね。
ゲームだと、たまにおちゃらけてるけど、小説だともっと暗くなりそうだ。
BGMも好きです。
全体的に少しマイナー調なんですが、暗すぎず。開放的な暗さ?
う~ん、言葉にするのは難しい...。
暗い暗いと繰り返しましたが、そんな中で私が一番好きなのは第3章。
あの、「一人を除き」の「オガタ ミヤ」さんが登場する章です。
この人も、後々不幸な目にあうわけですが、それは彼女自身の危機管理の無さによるものなので、まだそれほどでも無いかな。
章の冒頭から登場するミヤさんですが、彼女の言動が面白い。
そして(これはゲーム全体に言えることですが)ナレーションが秀逸です。
笑えます。ふざけ過ぎです。
でも好きです、こういうの。
このおちゃらけが何よりも世界を救ってくれます、タケシには悪いけど(苦笑)
暗黒神との戦いは、無理にアクションにしなくても良かった気がしますが、アレはアレでいいのかなぁ。
トビラに入ったらいきなり対決、と、かなり突然なわけですが戦闘なんてそんなものだろうし。
一見、超難解アクションゲームです。
こちらの移動範囲がかなり限定されるため、弾幕シューティングの如き難易度......、
かと思いきや、実は「ジャンプしなければ負けない」というオチがついています(笑)
なんだこりゃ? アクションでも何でもないじゃん!
でも、正攻法で暗黒神と戦うと、途中で投げ出すこと必死なので、こういう仕様(裏技?)でもいいんじゃないかな?
おかげで、私は投げずに最後まで楽しめました。
シナリオの「陰」と(ナレーションなど)システムの「陽」がうまく調合されているゲームだと思います。
ん~、何で評判にならなかったのかなぁ?
それとも、私が知らなかっただけなのか...。
もったいない、と思いつつも、大人になった今だから楽しめたのかもしれませんね。
P.S.
あまりにもシナリオが良く出来てると思ったら、
諸星大二郎さんが
原作の漫画があったんですね(→ 暗黒神話)
オープニングに「©MOROBOSHI DAIJIRO」とあったので、調べました(エンディングにもありましたが)
しかも、その後映画にもなっているようです。納得だ。
そして、東京書籍のナレーションも素敵だ(笑)