プレイビュー 03.家にいましたよ
店の名前は「ハリトン・アンティック・ファニチュア」
銀色の髪に口ひげ、痩せてはいるが金持ちそうな老人、それがこの店の店主「ロバート・マコール」です。
ひとまず事件について聞いてみます。
ミズ・マクガイアはお得意様で、指輪の台座の修理をしたすぐ後に事件がおきて驚いている、とのこと。
そして盗難にあった宝石類についても聞いてみました。
婦人が一番気にかけていた旦那からもらったというサファイアの指輪は、30年前に1万ドルで売ったものだという、
現在の金額になおすと15万ドルはくだらないという、価値のあるものらしい。
まあ、婦人にしてみれば金額よりも思い出、思い入れのほうが価値があるだろうからお金には代えられない指輪でしょう。
次にダイヤの指輪。
この店でしか手に入らないオリジナル作品。
ブローチは、アクアマリンを使ってあるそうです。
どれも価値のありそうなものばかりです。
そしてこれらの宝石類のほかに、現金が1万5千ドルも入った金庫のある家に(多分)一人で住んでいるマクガイアさんて一体何者?
それはさておき、一通り話を聞いたものの新たな情報もないため店を出......る前に、一応聞いておくか。
事件の晩、どこで何をしていましたか?
いえいえマコールさん、これは形式的なもので皆さんに聞いているんですよ(あなたが一人目だけどね)
「家にいましたよ。」
ですよねー。確固たるアリバイのあるほうが怪しいってのは推理小説のお決まりですよねー。
老人なのだから、夜にそうそう出歩くこともないでしょうし。
ご協力ありがとうございました、マコールさん。それではこの辺で失礼します。
そういえば、店の前に止まっている高級車はこの男のものなのだろうか?
一旦落ち着くためにオフィスに戻ってコーヒーでも飲もうか。
事務所に帰ると電話が鳴った。それはマクガイアさんからだった。
「今しがた警察から連絡が来て、サウス・ブロンクスのアパートで殺された男が宝石の一つを握り締めていた、
と言うので、確認のため警察に行きます」
殺された男が、ねぇ...。なんだかきな臭くなってきました。